Made of だんぼーる



〜〜〜はじまり ホワイトノイズの夜



〜〜〜はじまり ホワイトノイズの夜



 何の音だろう。
 静かな響き。やさしい音色。サラサラと白砂が流れゆくような・・・。
 何でだろう・・・じっと聞き入っていると妙に安心する。

 何の音だったっけ・・・。
 それはごくありふれた身近な響きだったような気がする。
 私の好きな音。
 そう、私はこの音が好きだった。
 こんなふうに取り止めもないことを考えて静かに聞いていると、雨と自分の境界線が曖昧になって・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・そう、雨だ。

 雨は時折パチャンと跳ね上がって静寂を破った。
 そのたびに世界は静寂に帰ってゆき、私の心を沈黙させる。

 瞳を開くと其処は暗黒。
 何も見えない。何もない。
 ただ雨音だけが私の中を満たしてゆく。

 ・・・・・・まだ夜だった。
 腕時計を探そうと思ったけれど灯りを付けるのが面倒でやめた。
 3時ごろかな・・・。
 二度寝する自身も眠気もあった。

 瞳を閉じると誰かの寝息。
 穏やかな一定のリズムで呼吸を繰り返す。
 嫌な感じはしなかった。

 むしろ―――
 安心した。
 気づくと私の顔は微笑んでいて、意味もなく胸からおかしさが込み上げた。

 少しだけその寝息に身を寄せた。
 その手のひらを探し重ね合わせて私は目を閉じた。


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